不動産の評価方法をめぐって、相続人間で意見が分かれることは珍しくありません。
「どのようにして適正な価値を算出すればいいのか?」
このような悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
実は、遺産分割において不動産の評価方法に関する法的なルールは存在しません。
相続人全員が合意すれば、評価方法は自由に決定することが可能です。
この記事では、実際の相続トラブル事例を交えながら、不動産鑑定士の効果的な活用法や遺産分割の基本知識について詳しく解説します。
さらに、意見の対立が予想される場合に備えた遺産分割の進め方もご紹介します。
この記事を読むことで、不動産の評価方針に関する理解を深め、遺産分割の話し合いを円滑に進めるための知識を得ることができます。
相続トラブルを回避し、適切な評価で不動産の価値を把握したい方にぜひご活用いただければ幸いです。
執筆者:古林国博
古林 不動産鑑定士・税理士・公認会計士事務所 代表
不動産オーナー様が抱える「節税・相続・不動産経営」などのお悩みをまるごと解決へと導くお手伝いを行っています。
飛込み営業で鍛えられた「親しみやすさ」と不動産と相続に特化した「高い専門性」でサポートいたします。
詳しいプロフィール
目次
1. 不動産鑑定士のアドバイスが功を奏した事例
- 概要
被相続人 | 80代の地主様 |
場 所 | 地方都市 |
遺産総額 | 約3億円 |
相 続 人 | 長男A、次男B |
相 談 者 | 長男A |
争 点 | 不動産の評価方法、評価額 |
依 頼 時 | 遺産分割調停中 |
結 果 | 審判(当初の予定から約4,000万円少ない代償金で済んだ) |
- 依頼の経緯
多くの不動産を所有する地方都市の地主様がお亡くなりになりました。
相続人は、長男Aと次男Bのみ。
長男Aと次男Bで遺産分割協議をしましたが、不動産の評価額やどの不動産を相続するかで揉めてしまったとのことでした。
その後も協議は難航して、結局、双方が弁護士に依頼して、遺産分割調停になっている状況で弊所に不動産鑑定評価の依頼がありました。
- 相談内容
相手方(次男B)の主張
・不動産の評価額について「固定資産税評価額」を採用すべき
・特定の土地Aを相続(取得)したい、その他の土地はいらないから金銭(代償金)を支払ってほしい
当方(長男A)の主張
・不動産の評価額について「相続税評価額」を採用すべき
・支払う金銭(代償金)はもっと小さい金額のはず
不動産の評価方法(評価額)でお互い譲らず平行線となってしまっているため、この状況を打開するため、当方(長男A)の代理人弁護士から弊所に不動産鑑定評価の依頼がありました。
- 不動産鑑定士(弊所)のアドバイス
資料を分析したところ、相手方(次男B)の「不動産の評価方法は固定資産税評価額、土地Aのみが欲しい、他の不動産はいらないから金銭(代償金)で支払ってほしい」との主張の意図は明らかでした。
土地Aは、固定資産税評価額が約30万円ほどでした。
土地Aは、市街化調整区域内にある広大な農地であったために、固定資産税評価額が非常に低い金額となっていました。
しかし、周辺は戸建住宅開発が進められており、開発業者に売れば高く売れそうです。
相手方(次男B)としては、価値の高い土地Aを低い金額の固定資産税評価額30万円で相続(取得)して、より多くの代償金をもらいたいとの意図であることが推察されました。
そこで、当初は土地B~Hまでの不動産鑑定評価の依頼でしたが、「土地Aも鑑定評価したらどうですか?」と提案しました。
土地Aは高く、土地B~Hは低く評価額が出れば、相手方に支払う代償金額を抑えることが出来るのではないかと。
- 結果
事前の目算通りに、土地Aは高い評価額、土地B~Hは低い評価額で不動産鑑定評価書を提出できました。
相手方(次男B)は、弊所の不動産鑑定評価書の鑑定評価額を不動産の評価額として受け入れました。
そのうえで、調停の途中で相手方(次男B)は土地Aの取得の意思を撤回しました。
その後も話はまとまらず、結局、審判となりました。
審判では、当初、相手方(次男B)が土地Aの取得を主張していた事実から、相手方(次男B)の土地Aの取得が決定されました。
結果として、相手方(次男B)への代償金の支払額を、当初の予定から約4,000万円少なくて済み、大幅に抑えることが出来ました。
- 事務所からのコメント
弊所は、不動産鑑定士事務所でもあり、税理士事務所でもあります。
「不動産鑑定評価額(時価)」にも「固定資産税評価額」にも「相続税評価額」にも精通しておりますので、弁護士の先生方が訴訟戦略を練る上で有用なアドバイスが可能です。
本件でも、総合的な観点からのアドバイスで勝利に貢献できたと自負しております。
不動産鑑定評価の依頼から、「固定資産税評価額」や「相続税評価額」の評価誤りを発見して、固定資産税や相続税を取り戻すことに繋がるケースもございます。
不動産に関する税金の問題にも対応でき、税金に関するアドバイスも可能です。
お客様には大変喜んでいただいております。
2. 事例でみる遺産分割の基礎知識
2-1. 評価方法は協議で決める
遺産分割の際に不動産の評価を行う場合、法律上で特定の評価方法を強制する規定はありません。
相続税を計算する際には「相続税路線価」や「固定資産税評価額」といった基準が使われますが、これらは税金計算のためのものであり、遺産分割の評価基準として使わなければならないわけではありません。
相続人全員が合意すれば、どのような基準を用いても問題ありません。
不動産の価値をどのように評価するかは、相続人全員が納得する方法であれば、自由に選ぶことができるのです。
2-2. 不動産の公的指標
不動産(土地)価格についての公的指標は以下の通りです。
種類 | 監督官庁 | 評価時点 | 公表時期 | 時価との関係 |
地価公示価格 | 国土交通省 | 毎年1月1日 | 毎年3月下旬 | 時価 |
都道府県地価調査価格 | 都道府県 | 毎年7月1日 | 毎年9月下旬 | 時価 |
相続税評価額 (路線価) | 国税庁 | 毎年1月1日 | 毎年7月1日 | 時価の80% |
固定資産税評価額 | 市町村 | 毎年1月1日 | 毎年4~6月 | 時価の70% |
取引価格 | 国土交通省 | - | - | 時価 |
遺産分割においては、不動産の評価方法は自由に選択できます。
仮に、相続人全員が合意すれば、時価の70%とされる固定資産税評価額を不動産価格として決めることができるのです。
本事例では、各相続人が「相続税評価額」と「固定資産税評価額」で対立していました。
それぞれの思惑があり、不動産の評価方法で対立することは非常に多いのが実情です。
人間だれしも少しでも多く遺産が欲しいのは当然と言えば当然なのですが、お互いに歩み寄りがないと、なかなか話が前に進まないことになります。
2-3. 遺産分割では時価評価が原則
不動産の「時価」とは、市場でその不動産が現時点で取引されると仮定した場合の価格を指します。「今売ったら、いくらで売れるか」と言い換えることもできます。
実際に売りに出せば「時価」は分かるのですが、売りに出せないから「時価評価」が必要になります。
遺産分割調停や審判においては、不動産の評価額は「時価」が基準とされます。
2-4. 時価を把握する必要がある場合
- お金で調整する(代償金を支払う)場合
遺産分割において時価評価が必要な場合は、お金で調整する(代償金を支払う)場合です。
相続人の一人が不動産を相続し、他の相続人には現金で補償するような場合です。
この場合、不動産を時価で評価しないと、代償金の額が実際の価値とズレて不公平が生じる可能性があります。
時価を基に評価することで、全相続人が適正な分配を受け、公平な調整ができるため、トラブルを防ぐことができます。
上記の図は、自宅の時価が3,000万円の場合で、支払う代償金は1,000万円です。
仮に、自宅の時価が5,000万円であったならば、支払う代償金は2,000万円になります。
預貯金1,000万円 + もらった2,000万円 = 3,000万円(相続人A)
自 宅5,000万円 - 支払った2,000万円 = 3,000万円(相続人B)
このように、不動産の価格がいくらかによって、支払う代償金も大きく変わってきます。
相続人全員の納得を得やすく、トラブルを防ぐためにも、時価をいくらと評価するのかが重要になってきます。
- 不動産が複数ある場合
不動産が複数ある場合にも、公平な遺産分割をするためには、お金で調整することになります。
お金で調整することができれば、「不公平だ!」「わたしもアパートのほうが欲しい!」という不満の声もなくなり、スムーズに遺産分割を進めることができます。
本事例では、「固定資産税評価額」も「相続税評価額」も時価とのかい離が非常に大きかったこと、不動産の評価額をいくらにするかによって相手に支払う代償金の金額が大きく変わってくることから、時価の把握が非常に重要でした。
時価とのかい離が大きい場合や不動産が多い場合、不動産の価値が大きい場合には、「不動産鑑定評価」を検討することをお勧めします。
費用はかかますが、不動産鑑定士から協議を有利に進めるアドバイスなどのサポートを受けることができます。
弊所のように、払い過ぎの固定資産税や相続税を取り戻すことに繋がるかもしれません。
費用に見合った、あるいは、それ以上の価値が見出せるようであれば、「不動産鑑定評価」は有力な選択肢になると思います。
なお、以下のような場合には、時価を把握しなくても相続手続きを進めることができます。
- 遺言書がある場合(遺言通りに相続手続きを進める)
- 不動産を売却して換金する場合(売却金額を分ける)
- 不動産全体を共有名義で相続する場合(それぞれ持分を取得する)
- 相続人全員が合意している場合(時価を知らなくても相続手続きを進められる)
2-5. 不動産の評価方法
不動産の評価方法としては、いろいろな方法が考えられますが、ここでは、以下の4つを紹介します。
- 公的指標をそのまま使う方法
評価手続きの簡便さやスピードを重視したい場合には、公的指標をそのまま使う方法が適していす。
最も簡単なのは、固定資産税評価額をそのまま使う方法です。
不動産の価値がそれほど大きくない場合に適した方法と言えるでしょう。
- 公的指標を用いた時価評価の方法
費用をかけたくない、不動産会社に事情を知られたくない場合など、公的指標を用いて自分で大まかな時価を算出する方法です。
具体的な方法は、以下の関連記事「自分でできる不動産の評価!調べ方と計算方法を不動産鑑定士が解説」をご覧ください。
関連記事
自分でできる不動産の評価!調べ方と計算方法を不動産鑑定士が解説
- 不動産会社の無料査定
費用が発生しないため気軽に依頼でき、不動産の大まかな時価を知ることができます。
不動産会社によって金額にバラツキが出るので、2~3社程度に依頼すると良いでしょう。
しかし、「評価の信頼性に欠ける」、「しつこい営業が入る」などのデメリットがあるので、トラブルにならないように注意が必要です。
- 不動産鑑定評価
不動産鑑定評価では、国家資格者である不動産鑑定士が「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき、不動産の価値を公正かつ透明に評価して、不動産鑑定評価書を作成・発行します。
最も信頼性の高い時価と言えるでしょう。
ただし、鑑定費用の相場は30万円~なので、費用対効果をよく検討する必要があります。
関連記事
不動産鑑定とは?査定との違い・必要性が高い2つの場面を詳しく解説
不動産の評価方法まとめ
メリット | デメリット | |
公的指標をそのまま使う | 費用なし ・最も簡単 | 時価とのかい離が大きい |
公的指標を時価水準に修正 | 費用なし ・簡単 | 時価とのかい離の可能性 |
不動産会社の無料査定 | 費用なし | 時価の信頼性に欠ける しつこく営業される恐れ |
不動産鑑定評価 | 最も信頼性が高い | 費用がかかる |
本事例では、当初は、お互いに公的指標をそそのまま使う方法を主張していました。
しかし、公的指標も「地価公示価格」「都道府県地価調査価格」「相続税評価額」「固定資産税評価額」など複数あるため、その中でどれを使うかで対立していました。
他にも諸々の方法がありますし、法律上決まった評価方法があるわけではないので、どうしても対立しやすい構造になっています。
「不動産鑑定評価」は、最も信頼性が高いですが、それなりの費用がかかるため、最後の手段と言って良いでしょう。
本事例では、長男サイドが「不動産鑑定評価」を選択しました。
費用を負担したのも長男サイドです。
長男サイドとしては、費用をかけてでも不動産鑑定評価を依頼するほうがお得だと判断したためです。
結果的に、代償金が4000万円も少なくて済んだのですから、大変喜んでいただきました。
通常は、次男サイドも別の不動産鑑定士に依頼して、不動産鑑定評価額を争点に争うことが多いのですが、本件では、次男サイドは長男サイドの不動産鑑定評価額(弊所の不動産鑑定評価書)をそのまま受け入れました。
次男サイドとしては、諸々検討した結果、費用をかけてまで不動産鑑定評価を依頼するメリットはないと判断したものと推察されます。
関連記事
「評価方法の選び方」など詳細についてはこちらをご覧ください。
遺産分割では時価が原則!不動産の評価方法を不動産鑑定士が解説
3. 意見対立がある場合の遺産分割の流れ
意見の対立がある場合の遺産分割は、一般的には以下のような流れになります。
① 遺産分割協議
② 遺産分割調停
③ 遺産分割審判
本事例では、次男サイドが遺産分割調停を申し立てました。
長男は、調停の当初は弁護士に依頼せず、自らが対応していたとのことですが、対応しきれなくなって弁護士に依頼したそうです。
弁護士に依頼するタイミングは、ケースバイケースです。
遺産分割調停になったら依頼すると考えている方も多いのですが、決してそんなことはありません。
当事者だけの協議(話し合い)ではうまくいかないことも多く、協議(話し合い)の代理人として弁護士に依頼することも考えられます。
本事例では、協議から審判まで5年以上かかりました。
依頼者の長男様も、最後は親族間の対立に疲弊しきって、「何でもいいから早く終わりたい」とこぼしていらっしゃいました。
皆さん何とか自力で対応しようと努力されているケースは多いのですが、結果的にかえって傷口を広げてしまうことが多いと感じています。
激しい意見対立がある、今後予想される場合は、早期に専門家へ相談し、家庭裁判所での調停や審判を見据えて準備を進めることをお勧めします。
3-1. 不動産鑑定評価を活用すべき場合
不動産鑑定評価には、決して安くない費用(最低でも鑑定費用相場30万円~)がかかります。
感情的な対立が激しい場合には、費用対効果を全く顧みない決定をされる方もいらっしゃいます。
まずは、冷静に費用対効果を検討することをお勧めします。
関連記事
不動産鑑定とは?査定との違い・必要性が高い2つの場面を詳しく解説
個別事情や評価する不動産の状況によっては、不動産鑑定評価を活用することで、有利に遺産分割を進められる場合もあります。
とくに、不動産の価値が大きい場合、不動産の数が多い場合、特殊な不動産の場合などには、不動産鑑定評価の活用を検討することをお勧めします。
本事例では、調停の段階で、弁護士のアドバイスによって「不動産鑑定評価」の依頼がありました。
不動産鑑定評価を活用すべきかどうか、どのタイミングで依頼するかは、個別事情などによるところが大きいので、一概には申し上げられません。
弁護士や不動産鑑定士と相談して検討すると良いでしょう。
じつは、弁護士からの依頼であっても、「不動産鑑定評価」は必要ないと感じるケースは意外と多いと感じています。
そのような場合には、弊所では「費用をかけてまで不動産鑑定評価を依頼する必要はないですよ。他の方法で十分ですよ。」とアドバイスしています。
本事例では、弁護士からの相談を頂いて、すぐに「不動産鑑定評価」の適用案件だと判断しました。
不動産が多かったこと、公的指標「固定資産税評価額」「相続税評価額」と時価とのかい離が大きかったことなど、費用をかけて不動産鑑定評価をしたほうが、より当方(長男)に有利でメリットが大きいと判断されたためです。
3-2. 遺産分割協議
意見対立がある場合の遺産分割協議では、当事者だけで解決しようとすることでかえってトラブルが拡大するケースが少なくありません。
相続人同士で意見が対立し始めると、介護問題や遠い過去の出来事なども絡めて、感情的な対立が生じ、話し合いが長引きやすくなります。
また、不動産や税務の知識が不十分なままで協議を進めると、評価額の不一致や誤った分割方法によって思わぬ税金負担が生じる場合もあり、不公平感が生まれ、さらに混乱を招くことがあります。
こうしたトラブルを避けるためには、費用がかかっても早い段階で弁護士や税理士、不動産鑑定士といった専門家に依頼することが重要です。
専門家の助言により、客観的かつ法的に正当な評価や分割案が得られるため、相続人全員が納得しやすくなり、協議をスムーズに進められます。
結果として、時間と労力を節約し、トラブルの長期化を防ぐことができます。
本事例でも、長男様は「もっと早くに専門家に相談しておくべきだった」と大変後悔されていました・・・。
3-3. 遺産分割調停・審判
遺産分割調停は、相続人間で遺産分割の合意が得られない場合に、家庭裁判所が間に入り、調停委員が相続人の意見を調整して解決を図る手続きです。
調停では相続人の主張を公平に聞き、合意形成を目指します。
合意が成立すれば調停調書が作成され、法的拘束力が生まれますが、調停でも解決しない場合は審判へと進み、裁判官が最終判断を下します。
遺産分割調停・審判の流れは以下の通りです。
① 評価方法の意見対立
不動産の評価方法として「固定資産税評価額」「路線価」「時価」などがあり、それぞれ異なる評価額が出るため、相続人の主張が分かれやすくなります。
例えば、不動産の価値を低く見積もりたい相続人は固定資産税評価額を希望し、一方で時価評価を主張する相続人がいる場合、意見対立が発生します。
② 調停委員による調整
調停委員は中立的な立場で相続人それぞれの意見や主張を聞き、対話を通じて意見の調整を図ります。
相続人の感情的な対立を和らげつつ、不動産の評価や分割方法についての公平な合意を目指し、法律や公平性に基づいた提案を行います。
③ 不動産鑑定評価の依頼
調停委員による調整でも合意に至らない場合には、裁判所が中立的な立場で不動産鑑定士を選任し、不動産鑑定評価が行われることがあります。
この手続きにより、不動産の客観的な市場価値(時価)が明確化され、相続人全員が納得しやすい公平な評価が提示されます。
裁判所選任の不動産鑑定士による不動産鑑定評価書は、裁判手続きにおいて重要な証拠資料となり、最終的な調停の合意や審判での分割判断に影響を与えます。
裁判所選任の不動産鑑定士にもいろいろな方がいます。
ときには、「えっ」と思うような残念な不動産鑑定評価書が提出される場合もあります。
あくまで私見ですが、この点は大きなリスクだと感じています。
④ 調停不成立の場合は審判へ移行
調停でも意見が一致しない場合、審判に移行し、裁判官が客観的に妥当とされる評価方法に基づき、不動産の評価額を決定します。
審判では、調停で得られた資料や鑑定評価を基に、公平な遺産分割が行われます。
⑤ 審判の決定
最終的に裁判官が、鑑定評価や相続人の主張を考慮し、公正な分割方法と評価額を決定します。
この審判結果には法的拘束力があるため、相続人はこれに従って遺産を分割します。
4. まとめ
- 不動産鑑定士のアドバイスが功を奏した事例
- 遺産分割における不動産の評価基準に法的な決まりはない
- 相続人全員の合意で評価方法を自由に選択できる
- 最も簡単なのは固定資産税評価額をそのまま使う方法
- 不動産鑑定評価を活用すべき場合は、不動産の価値が大きい場合や特殊な不動産の場合
- 意見対立がある場合の遺産分割の流れは、協議、調停、審判の順
- 激しい意見対立が予想される場合は、早期に専門家へ相談することが成功のカギ
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